「子ども集団での育ち」

 雨でも園庭で遊び尽くして欲しいな、と子どもたちや職員の園庭用のカッパを手配していたのですが、梅雨があっという間に過ぎていきました。気候変動の多い日本ですが、子どもたちの体調に留意しながら、楽しく安全な保育に努めていきたいと思います。

 さて、コロナ禍で、なかなか難しかった子ども同士の交流や、イベントも少しずつ解禁になっているところです。もちろん、大人が関わって遊ぶこと、教えてあげることによって育つ力もたくさんあるところですが、子どもたち同士、子ども集団での育ちにはやっぱり敵いません。

 子どもたち同士では、物を取り合ったり、順番でケンカしたり、いざこざが起きたり、泣いたり、怒ったりします。一方、大人や親というのは、子どもの持っている物をいきなり取り上げたり、順番を「私が先よ!」と、子どもに割り込むことも基本的にはありません。だからこそ、子ども同士の「いざこざ」というのは、一見、悪いことのようにも見えますが、そのやり取りというのは、子どもたちが成長している証で、子ども同士、子ども集団でしか育たない「社会性」を学んでいる最中です。

 その際、保育者は、子どもたちそれぞれの気持ちを受け止め、尊重しながらも、社会で必要となる人間関係の「折り合いの方法」を学ばせていきます。子ども時代に、たくさんの衝突や摩擦を経験し、折り合いを付けながら様々な感情を体験し、コントロールする力を獲得しています。また、「あこがれ保育」といって、年長児の子どもたちが、未満児(0歳児~2歳児)をお世話するような機会がおへそにはあるのですが、いつもは、お調子者の年長児の子も、小さい子たちの前では、立派な小さな先生となって、お世話を精一杯頑張ります。その先輩たちに小さい子は「あこがれ」て育ちますし、年長児も、「あこがれ」られて育ちます。心理学においても、「相互作用説(interactivism)」と言って、大人との相互作用(互いに働きかけ、影響を及ぼすこと)よりも、年齢の近い子ども同士の影響力の方が大きいと言われています。お父さん、お母さんの言うことは、全然聞かないけど、近所の兄ちゃんの言うことは聞く!って感じですね。それはそれで困りますかね(笑)。子どもいうのは本当に面白いですね。

 先日は、学道場の6年生の男の子(T君)と、3年生の男の子(I君)が一緒に遊んでいる際、I君が「T君が卒業したら、学童がつまんなくなるな~。T君が卒業したら、僕も、辞めちゃおうかな~」と、T君が大好きなI君は、ボソッと本音をこぼしていたのですが、T君は、「なんばいいよっとか、おいが、お前と遊んだごと、今度はIが、後輩たちの面倒ば見てあげんばとくさ」と言ってあげていたのです。
※佐賀弁が分からない方のために、標準語で訳すると…「何を言っているんだよ、俺が、お前と遊んだように、今後はIが、後輩たちの面倒を見てあげないといけないんだよ」

 6年生のT君、本当に立派だな~と思います。おへそに来た時は、一番赤ちゃんでずりばいしてて、泣き虫で、甘えん坊で…(もう止めておきます)。お父さま、お母さまの子育ての賜物ですが、おへそで、様々な年齢の集団に関わりながら、もまれながら、もし、そんな「つよく、やさしい心」が育っていたとすれば、本当に嬉しく、涙がこぼれそうです。

 コロナも増えつつあり、油断ならない状況ですが、少しでも、子ども同士の関わりを大切にしていきたいな、と思います。これから夏本番!!園長が、短パン、Tシャツ姿で出勤することがありますが、お仕事着でございますので、お許しを…子どもたちと精一杯、夏を楽しみたいと思います!

おへそグループ統括園長 吉村直記

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「年下の子をお世話する時ってどんな気持ち?」
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