湯沢英史氏は、子どもがどうやって気持ちのことばを獲得するかについて、まわりの大人などが、子どもの様子を見ながら「楽しそうね」「おもしろいよね」「悲しいの?」と声をかけて、自分の気持ちについて、その(感情の)名前を理解していくと言います。
ああ、この感情は「楽しい」というのか、「幸せ」というのか、「悲しい」という気持ちなんだと、子どもたちは感情と名称がリンクしていくのでしょう。
感情を理解していくというのは、自分自身の気持ちを表出する上で必要なことはもちろん、他者の気持ちに気づくようになり、相手を思いやる気持ちを同時に成長していくことにつながります。
保育者は、ただ子どもたちと言葉をやりとりするだけではなく、目の前の子どもがどんな気持ちをもっているのかを代弁し、どんな感情を抱いているのかを伝え、少しずつ感情の理解への成長をサポートすることが重要でしょう。
以前のブログにも書いた覚えがあるのですが、私の友人は幼い頃、夕食の際にお母さんが「幸せだね~」と毎度毎度つぶやく習慣があったようです。 子ども時代は、特に意識することなく過ごしたようですが、自身が家族を持ち、同じように食卓を家族と共にする際に「幸せだね~」とつぶやいている自分に気づいたようです。 そのお母さんの言葉がけが、「何気ない日常が『幸せ』なのだという感情」を友人に与えたのでしょう。
子どもたちには感情を代弁するような共感的な言葉がけで、より豊かな感情の育ちはもちろん、より豊かな人生につなげてあげたいものです。