「じりつ」には、「自立」と「自律」の2つがあります。
「「自立」は、他の助けや支配なしに一人で物事を行うこと、それに対して「自律」は自分の立てた規律に従って自らの行いを規制すること。
自立は、自律を行った上で、独り立ちしていくようなイメージでしょうか。
自律は、誰かにコントロールされるわけではない「自分の心をコントロールするスキル=チカラ」とも解釈できるかもしれません。
その「自律性」=「自制心」の発達の伸び率は1歳児~2歳児くらいが一番ピークとなり、大半を幼児期の前半に修得されるものと言われています。
それについては前にも書きました。
親が少し離れたところ(心の距離間)で、子ども自身が周りの友達との関わり、人間関係を体験しながら育まれていくということでした。母親と1対1では不足もあるという話でした。
他者との関係性、社会とのつながりを持つために、必要な力です。
子どもたちの社会スタートは、子どもの集団の中にあります。おもちゃの取り合いをしたり、ケンカをしたり、自分自身の思いが通ることがない環境がまさに社会であり、自制心が必要とされる環境です。大人がその環境を整備すればするほど、自制心の育つ機会がなくなっていきます。1歳~2歳くらいはもちろんよくケンカもしますし、人間関係においてトラブルを起こすものです。
また、その環境を止めることは大人にとっては案外簡単なものです。その子を別の部屋に連れていったり、間に入って止めてあげることで容易にその状況は回避することができます。しかし、そのトラブルを回避させることにこそ、自制心の育ちを妨げる要因となっている可能性があります。
今回は「では実際にはどのようなアプローチが必要なのだろう」という考察をしてみようと思います。
子どもの集団の中で育まれやすいものであるということ。
そして、もうひとつは親の関わりによって育まれるものだと言われています。
発達心理学者のエリクソンは、「何度も教えてあげるから、大丈夫だよ、すぐにできるようにならなくてもいいんだよ」というようなメッセージを子どもたちに伝えてあげることだと言いました。
「はやくしなさい!」「なんでできないの」「何度言ったら分かるの」の類の言葉は、自律どころか、大人や親によるコントロールに過ぎません。
自律は、自分自身の気持ち、心によって自分をコントロールするスキル、チカラ。
ですから、大人や親によるコントロールは、正反対なことです。
子どもをコントロールするのではなく、子ども自身のコントロールを支援、サポートしていくという姿勢が大切。
「いつまでも待ってあげるから、自分で決めなさい。」そういう姿勢が子どもの自律を促していきます。
エリクソンは、この時期の発達段階を、「自律性」VS「恥と疑惑」と説きました。
自律性が育まれる時期なのだけど、一方で、恥や疑惑を抱く時期であるということです。
子どもたちが自らの行動を恥だと思わずに、疑いなく安心して行動できるように、
「何度も教えてあげるから、大丈夫だよ、すぐにできるようにならなくてもいいんだよ」
という姿勢で、子どもたちと接してあげれれば良いなと思います。