保育者向けコラム 「自分で考える力」は「自分だけで考える力」ではない

新人の保育者から「分からないことを聞くことに躊躇する」、「質問するタイミングに悩む」ということを風の噂で聞きました。

結論から言うと、聞くこと、質問することは全く恥ずかしいことでも、悩ましいことでもありません。基本的には聞きたいときに、その瞬間に聞いた方が絶対に良い。私は「悩む時間」「分からない時間」が続くことが絶対に嫌です。とにかく、前に進んでいたいので、その場で悩む、知らなくて行動できない時間が嫌いです。ですから、分からなかったら、その場で知っている先生に聞いたり、すぐに電話で他園の園長先生に相談したりします。
すると、ほとんどの場合答えが出ます。
他力本願(たりきほんがん)です。
学校でも、自分の力で頑張りましょう。カンニングはダメですよ。と教えられてきました。私もカンニングをして、学校の先生にこっぴどく叱られた思い出もあります。
でも、社会に出ると、「人の力を借りる力がある人」「頼る力がある人」「カンニングする力がある人(まねする力)」が重宝されます。一方、人の力を借りれない人、頼る力のない人は、自分の小さな頭で物事を解決しようとして、間違った判断をして、結果的に問題が起きてしまったり、見えない視点があったりして、自分よがりの判断をして、先輩や後輩たちを困らせたりしてしまいます。
人に聞いたり、質問したり、頼ったりすることは、とても素晴らしいことです。そういう人は、「周りの意見を聞いて行動する人」「先輩のアドバイスをしっかり聞く人」として信頼されます。
頼れない人は、変なプライドを持っていたり、聞くことは恥ずかしいことだという、固定観念を持っていたりします。
それこそが大きな障がいです。
まずは、人を頼れないこと、人にアドバイスを求めれないことこそが「恥ずかしいこと」だというふうに認識を変え、前提条件を変えることです。
少し、逆の立場で考えてみましょう。
「先輩!先輩のここがすごいんですけど、どうやったら先輩みたいになれますか?教えてください!」って言ってみる。
すると、言われた先輩は、上機嫌になって、「しょうがないね~こうして、ああして」って手取足取り教えてくれるようになります。

「自分で考える力」は大切なことですが、それは「自分だけで考える力」ということではありません。

人の話を聞き、人を頼る力があり、社会の様々な情報を得る力があって、それを自分自身で咀嚼(そしゃく)し、判断する力です。分からないことは聞く、質問する。そして、教えてもらったら、笑顔でにっこりして「ありがとうございます!また、教えてください!」と元気にお礼を言えば、多くの人はあなたの見方になってくれます。

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