先日、森のようちえん(園舎を持たない保育園)を見学する機会がありました。その園の子どもたちは、雨の日も風の日も、もちろん晴れの日も、それぞれの状況を楽しみながら野外で過ごしています。日々、森の中で過ごすので、子どもたちは危険なことも含め、よくフィールドを把握しています。「ここはトゲトゲの木があるから気をつけてね」「黒の服を着ると蜂が寄ってくるから気をつけて」と、子どもたちが教えてくれるのです。
当園も森の中で過ごす取り組みを数年続けていますが、自然の中は遊びの宝庫です。木や草、土、水、火といった自然の「遊具」は、園内のどんな遊具も勝てないほど、子どもたちは遊びに没頭しています。
その園は、認可外保育施設として運営をされているのですが、園長先生は「園舎がないと認可はされないのよ」という話をされていました。確かに、現在の規定では、設置基準の面で、必ず園舎が必要となります。しかし、子どもたちの様子を見ると、むしろ、園舎があることよりも、多くの学びを得ているようにすら感じさせられたのです。教育保育業界も、「園内ではこういう活動をする」「園外ではこういう活動をする」という風に、勝手に境界線を引いてしまっている節があるように思います。固定観念というものです。
おへそグループは、保育園という概念に捉われず、誰もが来れるインクルーシブな居場所として境界線を持たず、少しずつ発展してきたように思っていましたが、「内と外のインクルーシブ」についてはまだまだ発展途上、子どもたちと共に、内と外の境界線を少しずつ取っ払っていきたいなと思います。
さて、夏休みに突入し、おへそでは、朝から0歳~高校生までが毎日共存し過ごしています。小学生が夏祭りの手伝いをして盛り上げてくれたり、保育のサポートをしてくれたり、中高生が園庭で幼児と一緒にバスケットを楽しんだりしてくれています。様々な世代が回遊し、互いに影響し合って、楽しみ合い、学び合っている姿は改めて素晴らしく感じます。
そして、さらに夏休み明けより、新プラン「オルタナティブコミュニティ」を創設いたします。
オルタナティブとは、「代替」「代わりの」という意味です。これまで、おへそ学道場(初中高等部)の運営は、放課後に限って子どもたちを受け入れてきました。しかし、社会情勢の変化から、さらに幅広いニーズ、居場所、コミュニティが必要になってきていることを踏まえ、午前中の時間帯から、家庭や学校等の様々な機関のオルタナティブの場所として、子どもたちを受け入れはじめます。
「テスト期間中や早下校等で、午前中から来たいな」という時「今日はどうしても学校に行く気分じゃないな・・・」という時「家のカギを忘れて家に帰れない!」「困ったこと悩んだことがあった!」という時様々な状況の子どもたち、様々なシチュエーションでも通える居場所、コミュニティです。
森のようちえんと同様に、今回のコミュニティは、現状では認可施設ではなく、自費運営ではありますが、子どもたちの豊かな成長につながると信じて突き進んでまいりたいと思います。まずは、おへそグループに在籍する子どもたちの受け入れからのスタートですが、保護者様のご協力をいただきながら、より良い場所を創ってまいります。どうぞ、宜しくお願いいたします。
おへそグループ統括園長 吉村直記