「子どもたちによる選択」の前に、子どもたちに「選択肢を与える」

当園では、基本的には子どもたちの自主的な遊びを見守ることで、子どもたちの創意工夫や主体性、意欲を伸ばしていく保育を基本としています。様々な環境を準備することで、子どもたちはそれを選択し、やりたいことに集中し、探求し始めます。

おへそで取り組んでいるような「子どもたちに選択を与える」という取り組みが、いかに子どもたちの幸福度につながるかという調査が神戸大学で行われました。

所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査

所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授と同志社大学経済学研究科の八木匡教授は、国内2万人に対するアンケート調査の結果、所得、学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響を与えていることを明らかにしました…Research at Kobe

この調査では、一般的に所得や学歴などが人の「幸せ」につながると感じている人も多くいることは事実です。しかしながら、所得や学歴よりも「自己決定」つまり、自分の意思で人生の選択をしていくことが幸福度につながることが証明されました。

自分で選択することによって、主体性や意欲が生まれてくることは、様々な研究結果によって証明されています。その結果に基づいて、おへその保育は、職員よりも子どもたちの興味関心に基づいて環境を準備し、それを子どもたちが選択するという図式で保育が展開されています。

しかし、「子どもたちによる選択」の前に、周りの大人や保育者が子どもたちに「選択肢を与える」という準備があるということを忘れてはならないように思います。

子どもたちが好きな時に折り紙で「鶴」を追っている姿も、どこかのタイミングでお母さんやお父さん、保育者から「鶴」の折り方を丁寧に教えてもらったからそれが可能なわけです。

何も教えることなしに、子どもたちが「将棋」を始めることもありません。「将棋」という楽しさやルールを教えてくれる大人がいて、興味関心を抱き、結果的に自主的に意欲を持って「将棋」という遊びを選び、探求していきます。

ですから、子どもたちを呆然と見守る前に、遊びの引き出しをたくさんもち、子どもたちに提案できる「遊びの提案者」であることや、楽しそうに遊ぶ姿を子どもたちに見せる「プレイリーダー」的な役割も重要であるように思います。


「子どもたちによる選択」の前に、「選択肢を与える」

これは、他の分野にも通ずるところで、子どもたちの自主性を大切にしようと思うばかりに、「さあ、世の中にある職業の中からあなたの大好きな職業を自由に選びなさい!自分で選ぶことは大切なのよ!」と言ったところで、世の中にどんな職業があるかを子どもたち知らない限りは、身の回りにあるような職業からしか選択することしかできません。

「様々な選択肢を与えながらも、選択者は子どもたちである」

ということを大切にし、引き続き、子どもたちの主体性、意欲を伸ばしていきたいと思います。

(追記)

茶々保育園グループの迫田理事長先生より、上記のブログに貴重なご意見をいただいたので追記します。

今の子どもたちの半分以上が大人になったときに

「今ない仕事」をしているであろう、想定も忘れては行けませんよね。

迫田先生がおっしゃるように、現在の職業以外にも子どもたちの未来には、「今ない仕事」「今ない職業」が存在していることでしょう。

子どもたちが「今ある仕事」から選択するだけではなく、「自分の『やりたい』を追求し、『今ない仕事』を新たに生み出す創造力」も大切に、多様な視点で、クリエイティブに発想する力を上記の内容に加えて伸ばしていきたいと思います。

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