心理学者の加藤諦三氏によれば、人は「成長より、幸せより、安全を選ぶ」という。
例えば、「離婚したい」「主人が嫌い」と言いながら、結局離婚はしない。
「生活が困る」という理由で、決断できない。「生活が困らないほどに成長して、経済的にも自立しよう」という成長欲求よりも、退行欲求を選んでしまう。
安全よりも、少しでも成長を選び、不安より幸せを選べる力が人には必要だという。
子どもたちは安全を感じて育っていくと、健康に成長へと進んでいきますが、育ってきた環境の中で不安や緊張状態で育っていくと、無意識にこの「不安」を埋めるための行動をし、満たされるための要求をしてしまうようです。
親子関係で「退行欲求」を認められなかった子どもは、親になったときに、我が子の退行欲求を認めにくいと言われています。
整理すると、子どもの頃に「安全」や「マイナス感情は吐き出せる環境」にあれば、子どもは安心して将来「安全」より「不安」より、「成長」を選択することが多くなりますが、逆に、子どもの頃に「安全」や「マイナス感情を吐き出せない環境」にあれば、将来無意識に「安全」や「不安」を選ぶ傾向にあるということです。
生い立ちの環境はそれぞれで選ぶことはできませんが、そんな「心」を意識化することで、そういう選択をする自分を客観的に見て、見直すことができます。
注射を怖がる子どもは、病気を治す医者さえ怖がって「悪い人」と言います。
その怖さの先には、「健康」や「幸せ」があるのに、目先の「安全」を選んでしまう。
その先に「成長」や「幸せ」があるにもかかわらず、大人の私たちもそういう選択をしていないだろうか。
大人は、少なからず、自身の中にある退行欲求に打ち克ち、成長欲求を優先できる人でありたいし、子どもに対してであれば、安全や安心を与え、退行欲求を認めてあげ、将来的に成長欲求を優先できるようはなむけする必要があるようです。