「考える力」は「幸せになる力」

少しずつ肌寒い日が増えてまいりましたが、芋掘り遠足、ハロウィンパレード、バルーン遠足など秋ならではの行事も楽しみました。年長さんが練習を重ねて自分で作れるようになったお味噌汁をお父さん・お母さんにおもてなしする「ごはん屋おへそ」、夏の大雨で延期になっていた「おへそ合宿」、空手の帯の色が変わる「昇級審査」も続きます。ひとつひとつ目標を乗り越えながら、ぐんぐん成長していく子どもたちを嬉しく見守っています。

 先日、2018年度(第12回)キッズデザイン賞受賞の連絡をいただきました。キッズデザイン賞とは、「子どもが安全に暮らす」「子どもが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」ための製品・空間・サービス、優れたものを選び、広く社会へ伝えることを目的とされている特定非営利活動法人キッズデザイン協議会主催の顕彰制度です。(マークを見ると分かる方もいらっしゃるかもしれません)「多様な年齢、環境にある子どもに応える施設で構成され、協働や交流を通じてお互いを受け入れ、理解する心を育む社会提案性の高い取り組みであり、差別や主体性欠如などの問題に対し、哲学、インクルーシブ教育、国際理解の3つのアプローチでソフト、ハード両面から支えている。」という審査委員のコメントをいただきました。これからも、この名誉ある賞に恥じない様に引き続き、子どもたちのより良い環境づくりに励んでいきたいと思います。また、保護者様をはじめ、関係者の皆様の支えがあってこその受賞です。この場をお借りして心より御礼申し上げます。

話は変わりますが、以下の文章をご覧ください。

「あなたにはこれまで3年間真剣なお付き合いをしてきて、

来年くらいに結婚の約束をしている彼ないしは彼女がいるとします。

ところが2カ月前にふとしたことで知り合った別の人が好きになってしまい、

今付き合っている人と別れる決心をしました。

600字以内でお別れの手紙を書いてください」

 この問題は愛知医科大学の入試で実際に出題されたものだそうです。世の中の試験も知識を問う形から、様々な力を必要とする問題に変わっているようです。物事を深く考察する力や、他者の立場になって相手の気持ちを想像する力など、ITにはできない力を問うているのでしょう。グーグルの創業者、ラリー・ペイジは「20年後には、今の仕事のほとんどが機械によって代行される」と言っていますし、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは「創造性を必要としない仕事はテクノロジーに代行される。来るべき未来を意識するように」と警告しています。

 おへそでは保育目標に「考える力」を掲げており、子どもたちが考えて選ぶこと、子どもたちの興味関心に沿って育てることを大切にしています。答えがない「哲学対話」の時間もその一つです。選択することは、考える力につながると言われています。学力だけで高校や大学を選択し、卒業する間際で「私は何に興味があって、何をしたいのだろう」と悩む学生も多いと聞きます。 私たちは日々の人生の中で選択を積み重ねながら、自分とは何者か、何が得意か、何をしたいのかを確立していきます。選択を他の誰かにしてもらえば、それだけ、考える機会、自分と対話する機会を奪うことになります。そうやって選択を積み重ねて、自己理解につながり、自分の長所を知り、自分の興味関心を知り、自分の幸せのあり方を知っていくのでしょう。

 日常生活の中でも「考える力」は伸ばすことができます。その秘訣は「質問」をしてあげること。YESかNOかだけで答えられるようなクローズドクエスチョンではなく、「どう思う?」などの質問のように、相手に自由に答えさせるようなオープンクエスチョンを多用します。「どうしてそう思うの?」「どう感じた?」などの質問は考えて、自分の言葉にして答えなければいけないので、「考える力」を伸ばすのにとても有効だと思います。子どもたちの「自ら考え、自ら人生を選択し、自らの幸せを追求できる力」を育んでいけるよう、園とご家庭で協力し合いながら子育てに励んでいきましょう。

【11月 親子 de 哲学対話】

園長から家庭で取り組んでいただきたい「哲学対話」のテーマを選定します。

哲学対話のポイントは、

1)否定しない、極端に褒めない(褒めるとそれが答えになってしまう)

2)答えを出さなくてOK(考えるプロセスが大切)

3)「なぜそう思うの?」と答えを掘り下げていくこと

今月の哲学対話テーマは、

「学校はいかなければいけないの?」

子どもたちと学校に行く意味や、そもそも行かなければ学べないのか、「学校くらい行って当たり前よ」という親の気持ちを置いといて、対話してみてください。

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る